「視覚障がい」について


このページの作成にあたり、国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局及び函館視力障害センターの作成された「視覚障害支援ハンドブック」を参考にさせていただきました。

目次


(1)視覚障がいについて
(2)視覚障がい者は突然の変化に対応するのが難しい
(3)視覚障がい者が困っているときのサイン
(4)困っている視覚障がい者を見かけたときの対応
(5)説明は具体的にお願いします。
(6)視覚障がい者を誘導する方法
(6の1)基本的な誘導方法
(6の2)階段ののぼりおりのときの誘導方法
(6の3)角を曲がるときの誘導方法
(6の4)狭い所を通過するときの誘導方法
(6の5)着席するときの誘導方法
(7)盲導犬に関する注意事項
(8)IT機器の活用

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(1)視覚障がいについて


視覚障がい者にとって「安全な外出」は永遠のテーマです。
また、目から入ってくる情報は約8割と言われており、仕事や勉強、日常生活においても色々と不便なことが多く、様々な場面でサポートを必要としています。
しかし、すべてのことをサポートしていただかなくても、必要な部分への配慮をしていただくことと工夫次第で多くのことを自分で行うことができます。
白杖や盲導犬を利用することである程度単独歩行が可能な視覚障がい者も数多くいますし、アクセシビリティの進歩によりスマートフォンやパソコンも自在に活用できる方も多くいます。
また、視覚障がい者用の便利なアイテムも多数あり、様々な工夫をしながら自分でできることを増やしています。
しかし、「安全な移動」と「書面等による情報取得」に関しては単独では難しく、どうしても皆様のサポートが必要となります。
このように、時代が移り行く中で、視覚障がい者を取り巻く環境も大きく変わってきました。
このページでは、「視覚障がい」について皆様に知っていただきたいことを掲載させていただきました。

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(2)視覚障がい者は突然の変化に対応するのが難しい


眼からの情報は約8割と言われており、どんなに聴覚や嗅覚が鋭い場合でも、突然の変化に対応することは難しいです。
視覚障がい者が困ってしまう、よくある「突然の変化」と、それに対する皆様へのお願いを以下にご紹介します。
@話していた人が突然いなくなってしまったが、気づかずに話しかけてしまう。
お願い:離席する前に「離れますね」などと声をかけてください。
A物を確認なしで動かしてしまい、いつも置いてある場所を探しても見つからない。
お願い:できれば物は動かさないでください。邪魔な場合や危険な場合は、必ず本人に確認してから動かすか、本人に動かしてもらってください。
B点字ブロック上に自転車を置いたり、立ち止まっていた人にぶつかってしまう。
お願い:点字ブロックの上に自転車を置いたり、立ち止まったりしないでください。
C張り紙や掲示板による情報がわからない。
よくあるのが、壁がペンキ塗りたてで、貼り紙がしてあったがわからずに触ってしまうことや、掲示板の断水のお知らせがわからなかったなどがあります。
お願い:可能な限り事前に口頭でお知らせいただけるとありがたいです。
などなど、挙げたらきりがないのですが、視覚障がい者は、頭の中に「いつもと同じ状況」をイメージしながら動くことが多いので、「突然の変化」には対応が難しいという特性をご理解ください。

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(3)視覚障がい者が困っているときのサイン


白杖を上にあげているときは「助けが欲しい」というサインです。
しかし、白杖を上にあげていない時でも、困っているときに以下のような行動がよく見られます。
・立ち止まって自分の周りを白杖で確認している。
・立ち止まってきょろきょろしたり、首をかしげている。
・横断歩道の信号機が青なのに立ち止まっている。
こういった時にサポートしていただけると大変ありがたいです。
立ち止まるところではないところで立ち止まっている場合は、現在地を見失っている場合や、目印で覚えているいつものルートから外れている場合など、安全かどうか不安に感じて立ち止まってしまうことが多いです。
また、以下のような危険な場所では、サポートしていただけるとありがたいです。
・横断歩道
・交差点や路地
・路側帯の幅が狭い車道
・駅のプラットホーム
・階段付近(特に下りの階段)
・ドア付近
・駐車場の出入り口付近
・駐輪場付近
・顔の高さに木の枝が伸びている歩道

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(4)困っている視覚障がい者を見かけたときの対応


☆まずは声をかけてください。
「大丈夫ですか?」や「手伝いましょうか?」などと声をおかけください。
突然手を引っ張ったり、無言で触れたりすると、驚いてしまいますのでこれらの行為はお控えください。
ただし、車が向かってきているときや、がけから落ちそうなときなど緊急の場合はこの限りではありません。
また、正面にまわって声をかけていただくか、横に並んでから声をかけていただくと自分に話しかけてもらっていると認識しやすいです。
声だけで「誰か判断する」ことは非常に難しいので、知り合いの視覚障がい者に話しかけるときは、親しくなるまで名前を名乗ると良いと思います。
「山田さん、こんにちは。鈴木です。」といった感じです。

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(5)説明は具体的にお願いします


「あれ」や「これ」、「そっち」などではわからないことがほとんどですので、「あなたから見て右側」、「駅を背にして左に進む」、「10歩ぐらい後ろ」、「100mくらい先」など具体的に説明をお願いします。
ただし、左右については、向いている方向によって逆になりますので、ご注意ください。
また、 食事や移動の際に、時計の文字盤に例えて説明すると分かりやすいです。
例えば、視覚障がい者本人の位置を時計の針の中心にして、「2時の方向に入口がある」などと説明します。
同様に、簡単な漢字や文字に例える形で、「カタカナのコの字に机が並んでいる」、「田んぼの田の字の形で置いてある」などと説明してもらえるとわかりやすいです。

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(6)視覚障がい者を誘導する方法


誘導者と視覚障がい者が横並びとなり、誘導者のひじの少し上の部分をつかんでもらうか、誘導者の肩に手を載せるようにつかんでもらうのが基本姿勢です。
どちら側に立つか、どこをつかむかなどを確認してから誘導をお願いします。

(6の1)基本的な誘導方法


視覚障がい者が「駅へ行きたいが、迷ってしまって」などと困っていて、 一緒に行ける場合には、「「一緒に行きましょうか?」などとお尋ねください。
@「どちら側に立ちましょうか?」とお尋ねください。白杖を持っていれば、大抵その逆側になることが多いです。
A「手に触れますね」と確認した後、手の甲を相手の甲にくっつけます。
Bそこから視覚障がい者は、誘導者の腕を伝って基本姿勢である、誘導者のひじのやや上を軽く握ります。
人によっては誘導者の肩に手を載せる方もいます。身長差などを考慮して、歩きやすい方法で誘導してください。
C誘導者は二人分の幅を意識しながら、視覚障がい者が 障害物などにぶつからないように誘導します。様子を確認しながら視覚障がい者のペースに合わせて誘導してください。

(6の2)階段ののぼりおりのときの誘導方法


階段に近づいたら、いったん立ち止まり、「上り」か「下り」の階段があることを伝えます。階段の少し手前で「3歩くらい前に上りの階段があるので、一旦止まりますね」などと声掛けをしてもらえるとありがたいです。
誘導者が一段先を進むようにして、視覚障がい者の歩行のリズムに合わせて階段を通過します。手すりがある場合は、手すりの位置を誘導して教えるのも良いと思います。
階段の終わりに近づいた時に、「あと3段で階段が終わります」などと伝えてもらえるとありがたいです。
階段が終わったら、立ち止まって、階段が終了したことを伝えます。

(6の3)角を曲がるときの誘導方法


曲がる少し前に「右に曲がります」などと言ってもらえるとありがたいです。
緩やかなカーブのときは、「少し左に曲がります」などと伝えてください。
急な曲がり角の場合は、「左に直角に曲がります」などと伝えます。

(6の4)狭い所を通過するときの誘導方法


混雑しているところや、狭いところを通る時には、まずそういったところを通ることを視覚障がい者に伝えます。
掴まれている腕を後ろに回して視覚障がい者には、誘導者の手首を掴んでもらいます。
狭いところを通過し終えたら、再び基本姿勢に戻ります。

(6の5)着席するときの誘導方法


座ることができる椅子があることを伝え、座面と背もたれを触ってもらいます。
触ることで視覚障害があっても、自分で椅子に座ることが出来ます。机がある場合には、机との位置関係も伝えます。今ですと、感染対策用のパーテーションなどがあることも伝えてください。
誘導の終了時に、イスに座れない場合には、固定されている柱や壁などに触ってもらい、安全な場所であることを伝えて終了します。
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(7)盲導犬に関する注意事項


盲導犬ユーザーを安全に誘導するためには、周りの人たちの協力も欠かせません。盲導犬が仕事に集中できないと、盲導犬ユーザーに危険が及ぶ場合もありますので、次のようなことはお控えください。
控えていただきたい行為
・盲導犬にさわる
・盲導犬に声をかける
・盲導犬をじっと見つめる
・盲導犬に食べ物を与える・見せる
・盲導犬のそばで大声を出す
・盲導犬が体につけているハーネス(胴輪)を引っ張る など
※盲導犬がハーネスを着けているときは「仕事中」です。集中させてあげてください。
もし、犬が苦手な方であれば、盲導犬はたいていユーザーの左側にいて道の左側を歩いていますから、その反対側に移ってくだされば、間近に接することは避けられます。
また、何もしていない人に盲導犬が突然吠えかかったり、噛みついたりすることはありません。

盲導犬に関する豆知識
・盲導犬は「止まる」事で、分岐点や段差等を教えています。
ユーザーが確認した後に「Go」と盲導犬に伝えることで進みます。
・盲導犬は信号の色を判別することはできません。
実際はユーザーが車の音や音声信号機などで、安全と判断して盲導犬に「Go」と伝えて横断歩道を渡っています。
従って、赤信号のときでも渡ってしまうことがあります。「青になりました」とか「赤ですよ」と声をかけてもらえるとありがたいです。

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(8)IT機器の活用


視覚障がい者もパソコンやスマートフォンを使うことができます。
パソコンは、画面の文字を読み上げてくれる「スクリーンリーダーソフト」や、Windowsの「ナレーター」の機能を使うことで利用することができます。
ただし、PDFやパワーポイントの画像などは、「画像」としか読み上げてくれませんので、資料はテキストファイルやワード、エクセルでいただけるとありがたいです。
また、スマートフォンもアクセシビリティが進んでおり、アイフォンの「ボイスオーバー」、アンドロイドの「トークバック」という、画面を触ったところを読み上げてくれる機能が最近のスマートフォンすべてに初めから組み込まれており、簡単に切り替えることができます。
このおかげで、どのスマートフォンでも設定さえ変更すれば誰にでも利用できるものとなっています。
また、電話だけでなく、メールやライン、ズームなども使いこなすことができますので、ラインのグループやメーリングリスト、ズーム会議のメンバーとして、ぜひ声をおかけください。

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